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ブラッド・ダイヤモンド

2006年の映画なんですね。
ずーっと観たいと思いつつ観る機会がなかったんですが、新しいテレビで絶賛DVD鑑賞祭り期間中のミジンコ家なので、「ブラッド・ダイヤモンド」もようやく観ることができました。


これはもう、人間として「観なきゃいけない映画」の一つかも。

<ストーリー>

アフリカのシエラレオネ共和国で、3人の男女が運命的な出逢いを果たす。
元傭兵のダイヤ密売人アーチャー(ディカプリオ)、
反政府軍RUFの襲撃によって家族と引き裂かれたソロモン(フンスー)、
そして、紛争ダイヤモンドの真実を暴こうとするジャーナリストのマディー(コネリー)。

すべてはソロモンが闇ダイヤの採掘場で大粒のピンク・ダイヤを発見することから始まる。
ひとりはそのダイヤの利益で救いのない暗黒大陸から抜け出そうとし、
ひとりは引き裂かれた家族を取り戻そうとし、
ひとりは真実を記事にするための動かぬ“証拠”を求める。
アフリカ地域紛争で武器調達の資金源として不法取引される“ブラッド・ダイヤモンド”。
そのひとつのダイヤに託された、全く異なる3つの願い。
アフリカが現在もなお抱える問題を絶大なリアリティで力強く描き、物語は感動的なラストへと向かっていく―。


ブラッドダイヤモンド公式サイト





幸せに暮らしていた村に、ある日突然反政府軍RUFのトラックがやってくる。
選挙に投票させないためという理由で、いともたやすく銃で村人を撃ち殺し、腕を切り落し、村を焼く。
そんな衝撃的な場面から始まるこの映画、見続けるにはちょっと覚悟がいる。


強制されたルールに背くものは有無を言わさず射殺する。
拉致した子供たちを麻薬漬けにして訓練し、残虐な兵士にしたてていく。
私たちが蠅たたきで蠅を叩くみたいに、殺虫剤でゴキブリを殺すみたいに、
いとも簡単になんのためらいもなく、人が人を殺し続ける日常。
アフリカ人がアフリカ人と殺し合う現実を作っているのは、実は先進国と呼ばれる国々のダイヤ商人だったり、ダイヤの指輪をほしがる消費者なのだという事実。

そんな、非常にシリアスで過酷な現実を丁寧に描写した社会派映画でありながら、家族愛や人間愛を織り交ぜてエンターテイメントととしても見ごたえのある作品に仕上げた監督の手腕に拍手を送らずにいられない。


レオナルド・ディカプリオ演じるダイヤの密売人アーチャーを取り巻く糸。
ジャイモン・フースー演じるソロモンを取り巻く糸。
ジェニファー・コネリー演じるマディーを取り巻く糸。
3本の糸が、それぞれの風合いを引き出し合いながら、とてもうまく撚り合わされて極上の織物に仕上がった感がある。

先日、日本映画の「クライマーズハイ」を観て、糸の撚り合わせ方をとても残念に思ったのだけど、この映画はそこが素晴らしいと思った。
ディカプリオはすっかり安定した演技だし、ソロモン役のジャイモンの眼光も凄い!
ジェニファーもこういう知的な役はぴったりだ。

まだ未見の方の為にネタばれはしないが、
ひとつだけ。


ソロモンの息子(日本で言えば小学校低学年くらいじゃなかろうか)が、RUFに拉致されて兵士としての訓練を余儀なくされる一連のシーン。

無垢な子供たちは、むりやり人を殺すことを科せられる。
目隠しされて「撃て!」と命じられ、がむしゃらに銃を撃ちはなった先に本物の人間がいるとも知らずに。
目隠しをはずされた子供は、そこで初めて、自分が「人間」を殺してしまったという事実を目の当たりにして恐怖におののくことになる。
そんな子供たちの恐怖は、麻薬で麻痺させられ、やがて、一人前の兵士になっていく。
もうその時には、笑いながらマシンガンで罪のない人間を虫けらのように殺せる立派な兵士になっているのだ。


映画だから、こんな表現ですんでいるけど、現実はもっともっとずっと悲惨なんだろうと思う。
ソロモンが変わり果てた息子と対峙するシーン。
涙が止まらなかった。
行方不明の息子を探して数々の修羅場をくぐり抜け、ようやく息子に辿りついた父。
その父を、大好きだった父親とは認識できない息子。
父を敵だとしか認識できなくて、銃を向ける息子・・・。
息子に殺されるかも知れない状況で尚、ソロモンは息子の心を信じて近寄って行く。
今にも引き金を引いてしまいそうな息子。
じりじりと、息子に近づく父。
どこまでもやさしい言葉で息子に愛を伝えながら・・・。



号泣でした。
このシーンを見るためだけでも、この映画を見て良かった。と思えます。


胆に銘じておきたいのは、
この映画が描いていることが、絵空事じゃなくて、
今日、今この時も、アフリカや中東で起きている数えきれないほどのおぞましい出来事の中の、たった一つなのだ、ということ。


むごたらしく、おぞましい。
悲惨すぎて声も出ない。
これほどにむごたらしいことができる行動の理由が、決して恨みや憎しみではないという事の怖ろしさ。
敵だから殺す。逃げたから撃つ。邪魔だから切る。目の前にいたから刺す。
普段は私たちの心の深淵に隠されている闇を、否応なく見せつけられて吐き気がする。
人間は、ただそのような理由でいとも簡単に人を殺すことができる存在なのだということを思い知らされる。



ディカプリオは上手く年を重ねましたね。
汚れ役が板に付いてきました。
骨太の作品に負けない骨太の演技です。
この作品で2006年のアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたらしいです。
いつもは役の向こうにディカプリオが透けて見えるのですが、この映画ではそうじゃなかった。こういう演技は好みです(笑)
すごいファンでもないのに、出演作はほとんど見てます(笑)



何に命をかけるのか。
本当に命をかけるのに値するものは何なのか。

生い立ちから来る人生への恨み哀しみ、そして深い諦めを抱えながら、
ソロモンやマディーと出会うことで、逡巡しながらも答えを見つけ出すアーチャーの壮絶な生きざまがせつなく、痛ましく、愛おしくて、また泣けます。



目をそむけたくなる場面が多いので、観ることをためらう人も多いかもしれませんが、目をそむけずに見て欲しい映画です。

Bd1_3












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コメント

ミジンコさん、こんにちは

ミジンコさんのレビューを読んでると、これは絶対観ないといけない映画ですね。
これ、しんも友達から勧められてたのを、今思い出しました

しんはあまのじゃくだから、ディカプリオ主演という時点で、候補からはずしてました・・・
メジャーなアイドルっぽい人がどうも苦手で・・・

こんなにケンちゃ~~んって騒いでるくせにね
でも、ケンちゃんは、アイドル俳優ではないですから ← キッパリ

食わず嫌いは、色んな可能性をつぶしてしまって、もったいないですね。
今年は、苦手分野にも手をだしてみることにします!!

投稿: しん | 2009年2月19日 (木) 11時07分

ミジンコさんこんばんわ
しんさんのコメントといつもシンクロしてしまう私
早速TSUTAYADISCASで借りよっと覗いたら
ツタヤの画面がDMCになってました。(≧∇≦)

DMCドキュメントディスクもっと松ケンくん主体で作って欲しかったてすよね。

投稿: かづ | 2009年2月19日 (木) 21時25分

しんさん、おはようございます!
これはねえ、ちょっと邦画では無理な骨太感でした。
例えて言えば銭ゲバ第5話の緊張感を100倍くらいにしたようなw
映画館で見てたら打ちのめされてたかも。
でも、ちゃんとエンタメになってるの!
監督がすごい。
ケンちゃんがいつかこの監督さんの映画に出てくれないかな~。と思っちゃいましたよ
ディカプリオは結構よい映画に出てますよ。
アイドルっぽい役も可愛いですけど、きちゃない役もなかなかいい感じです。
食わず嫌いは人生損しますよ~
ケンちゃんを知らない人が人生損してるみたいにね(笑)
って、私も某Jの子たちが出てるとゲゲって思うけど

そうそう!
ケンちゃんはアイドル俳優じゃないから!←きっぱり
でも、私もしんさんと一緒にキャーキャー騒いでますよ

今夜は日アカだね!
どんな衣装で来るか楽しみ~
ここぞ!って時にはずしてくるからね~(笑)

投稿: ミジンコ | 2009年2月20日 (金) 06時55分

かづさん、おはようございます!
え~!?
TUTAYAのトップがDMC!!
後で観に行かなくちゃ
DVD売れてるみたいですよね。嬉しいね~

ドキュメントディスク、ケンちゃん少なかったですね。
1回目は楽しんで見たけど、リピートするには辛いかな
永久保存版なのにね・・
でも、去年の夏のワクワクを思い出して茶の間で興奮してました

ケンちゃんもいつか「ブラッドダイヤモンド」みたいな骨太の映画に出て欲しいな。
この映画、ほんとに見ていて緊張しちゃうんですが、
グロいシーンもたくさんあるし。
でも、製作者の想いがガンガン伝わってくる銭ゲバみたいな映画でしたよ。

投稿: ミジンコ | 2009年2月20日 (金) 07時05分

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