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梓川河童橋の怪

飛騨高山がミジンコを呼んでいる!
行かなくちゃ!飛騨高山に会いに行かなくちゃ!
でも・・・・・金がない・・・・・

こんな時はやっぱり、得意の二次元ツアーでもするか。
行った人のブログ読んで、特産の味に舌鼓打つ代わりにヨダレ垂らして、
お土産だって予算気にせず選び放題!
てなわけで、ネットの海をさ迷ってたミジンコですが、
あれ?飛騨高山って富山の近く?あれ?長野も近いの?(←何年日本人やってる!)
黒四ダム、穂高、上高地、松本、大正池、梓川、、、、、、
ん?
なんか、聞き覚えのある地名が目白押し。
この辺、行ったことあるぞ。
そう言えば、ミジンコ小学2年生の夏休み、祖母の そよばあ の婦人会の旅行に強制参加させられて連れて行かれたのが、ここら辺だったワ。
あっ!
梓川と言えば、忘れられない出来事が・・・・・。

この先、ワンダーゾーンにつき、苦手な方は、ご遠慮下さいませ。
たぶん、怖くはないと思いますが。
名づけて「梓川河童橋の怪」









あの頃、乗り物に乗るたびにゲロゲロ吐いてたミジンコであるが、その旅も例外ではなく、トラベルミン飲んでも、ムカムカ苦しい旅であった。
だが、その日、バスから降りて、梓川の流れを見た途端、ウソの様にムカつきが消えてしまった。
梓川は、それまでミジンコが見た事がないくらい綺麗なアクアブルーだった。
ミジンコの住む町にも川は流れている。決して汚いわけではなく、むしろ泳げるくらいキレイな水だ。でも、ミジンコが毎日の様に見ているその川は、海と交わる河口のせいか、いつだって苔の緑色。 梓川のような美しい水色だったためしはない。
ミジンコは、生まれてはじめて見る美しい水の流れに目を奪われ、橋の欄干に両手を乗せて、流れが生み出す水のしぶきのきらめきを飽きずに眺めていた。
その時である。
突然、怒鳴り声が聞こえた。
「ミジンコ!何するんだ!やめれ!」
ええええええええ~っ!?
えっ????
何?いったい何が起きたの?
驚いて振り向くと、そよばあ が般若のような顔でミジンコを睨んでいた。
「やめれって言ったべっ!なして、そったらいたずらするんだ!」
へ?
あまりにも Suddenly
あまりにも Unreasonable
なんで怒鳴られたのか理解できず、どんな状況なのか理解不能。思考停止に陥ったミジンコは、うえうえ、と泣くことでしか意思伝達の方法を知らなかった。
そよばあ の仲よしの 千葉ばあ が、ミジンコの鼻水をぬぐってくれた。
「そよさん、どしたのよ?なんでいきなり怒鳴ってるの?」
千葉ばあ のあきれたような問いに、そよばあ はミジンコを睨んだまま答えた。
「ミジンコがさっきから、おらの上着ばひっぱたり背中叩いたり、いたずらするんだぉん」
そんなバカな!
ミジンコはなんもやってないよ!無実だよ~っ!
うえうえ、泣きながらミジンコは心の中でそう叫び続けた。
だが、うえうえ、泣きながら、ミジンコは不思議な感覚にとらわれていた。
突然怒鳴られて、振り向いた時、そよばあ の上着の裾が、誰かに引っ張られているみたいに、へんてこな形に浮き上がっていたのを、見たような気がしたのだ。
あれって----、ミジンコが引っ張ったの?自覚ナシに?
でも、ミジンコと そよばあ の間には誰もいなかったし、、、、、。やっぱ、ミジンコ?
ミジンコはわずか7歳にしてぼけたの、、、、、、?
ミジンコが理解不能な出来事をなんとか理解しようと脳みそフル回転させてたその時、
千葉ばあ が、真面目な声で言った。
たまし だべが?」
「わい・・・・」
そよばあ の表情も変わった。
「誰がの たまし 来たんだべが・・・・」
「誰がさ、何があったんだべが・・・・」
そっか。誰かの たまし が来たのか。ミジンコもすぐに納得した。
そよばあ の服を引っ張ったり背中を叩いたりしたのは、誰かの たまし だったんだ。
良かった!ミジンコじゃなかった!
たまし という言葉一つで ミジンコの疑いを晴らし、そよばあ の怒りを鎮め、八方丸くおさめた 千葉ばあ グッジョブです!と、今なら言ってあげられるのに。
そう。 それほどまでに、ミジンコの地元では、たまし の存在は、空気の様に至極フツーの当たり前の存在なの。

さて、3泊4日の旅を終え、無事におうちに戻った そよばあ とミジンコは、梓川の橋の上で そよばあ の服を引っ張った たまし が誰だったのか知る事になる。
そよばあ の連れ合い( 既に他界していたミジンコの祖父)の親友K野さんの息子さんが急逝したのであった。病気がちで、いつも着物を着ていた穏やかなオジサンというイメージしかないが、亡くなったのは、ミジンコが そよばあ に怒鳴られてうえうえ泣いていた、まさにあの日のあの時間だったそうだ。
「体弱くて、一回も旅行なんかしたことねがったからなあ・・・。ミジンコちゃんたちが黒四ダムさ行くって聞いて羨ましがってたし、ミジンコちゃんたちと一緒に旅してたんだべ。 そろそろ帰るがらって知らせたかったんだべなぁ・・・・・」
息子に先立たれた父は、ミジンコの頭をなでてくれながら、そう言って微笑んだ。
「面白がったが?旅行」
聞かれて、うん、と答える代わりに、ぽろぽろ涙がこぼれた。
茶の間の奥の黒い仏壇には、父親そっくりの美しい顔が、穏やかに優しく微笑んでいた。


梓川 河童橋の怪 は、こうして幕を閉じた。
ミジンコが たまし の存在をはっきりと強烈に心に刻んだ7歳の夏のことである。


ちなみに、地元で言う たまし とは ニュアンス的には「霊魂」の事と思われ、「霊」と同じようなつかい方がされている。ミジンコ的には表現上「魂」と区別したいので、 たまし とした。
アクセントは 「た」 ではなく 「」 に置かれる。 ネイティブの人が「ハワイ」と言うのと似た感じで軽くね 。

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